最初の“繭について”で触れたように、繭は蚕の糸が
層状にからまって出来ています。多少からまってはいても
層状であるかぎりは、はがれない筈がありません。
兎の耳は内側に赤い和紙を
貼るので厚くなり強くなります。
だから繭は薄いのを使います。
猫の尻尾は細くて長いので、厚くて
強くなければ折れてしまいます。
耳は薄い方が細工しやすいでしょう。
繭をはがすことによって繭細工は
新たなフロンティアを獲得しました。
薄い繭は、ザングリとした素朴さに
シャープで繊細な一面をプラス
したのです。私も大いにその恩恵に
あづかっています。
繭は好みの厚さ(薄さ)にはがす
ことが出来ます。用途に応じて
使い分けて下さい。

前おきはともかく、繭の裂き方・剥がし方について説明しましょう。

繭を半分に、又半分にと裂いていくと向うが透けて見えるほど
薄くなります。ということは、繭にはかなりの厚みがある、ということです。
その厚みの真中に目打ちをさし込み、裂け目が拡がったら
指でつまんで引き剥がすのです。
繭に目打ちをさし込む
前後・左右にゆすりながら
さけ目を拡げる
さけ目の内側をつまんで
引きはがす
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