表紙
まゆ村では糸を採るための繭ではなく
種を採るための繭を使っています。
つまり糸を採るためには丈夫で大きな
ハイブリッドを使いますが、種(卵)を採る
ためには原種の蚕を使う、ということです。

種繭には日本種と中国種とがあります。
日本種は細長く中国種は丸いという形の違いを
利用して、動物や人形のデザインを考えます。
繭は蚕がサナギから成虫に変身する間の安全を
保障するためのバリアーですから、丈夫でなくては
なりません。しかし丈夫すぎると虫が外へ
出られなくなってしまいます。
そこで水分を含むと柔らかくなるという見事な工夫が
こらされました。だから冬の繭は堅く、梅雨の繭は
柔らかくなります。サナギは唾液を出して繭に穴を
あけ、蛾になります。曲面の接着等にこの
原理を利用しています。

繭が堅いことには何の文句もないのですが糸の丈夫さ
にはホトホト困ってしまいます。目にも見えないほどの
細い糸が思わぬ所へ伸びていて、思わぬ物と
からまったりしているからです。短気な人ならカンシャク
を起こしてしまうでしょう。そんな時には少し指を動かし
てみて、何かにひっかかっているようならハサミで切って
下さい。面倒でもそうすることをおすすめするのは
私が何度も繰り返して失敗しているからです。

切り口にフタを貼って元の繭の形に戻す
    ホント、頭にきますヮ。
    エエカゲンにせえ、と思いますヮ
    どうかみなさんは、そんなことのないように…。 

 
フタ繭とフタ繭4コで作った蛙
蚕に穴をあけられたら繭が汚れるだけでなく
表面のいたる所に卵を産みつけるので使いものに
なりません。だから人手で繭を切り、サナギを
取り出して種紙に産卵させます。切れば当然
繭には穴があき、穴の大きさのフタ繭が残ります。
丸い形で使う時には、フタを元通りに貼り付けて
原形に戻さなければなりません。
しかし、穴をうまく隠して人形が出来たとしたら
フタは蚕からのボーナスみたいなものです。蛙だけ
ではなく、兎の尻尾とかヒヨコの羽根とか、色々と
利用法を工夫出来ます。