いつもの気紛れな 口喧嘩のつもりなのか
振り向きもせず遠ざかる 大きな背中に小さな心


バイバイ 私はあなたとのあれこれに もう疲れてしまった
気がついてはいないようだけど 今日は二人が初めて出合った日
そして この道はお互い遠慮がちだったあの日のまヽの雨の嵯峨
      顔ぢゃないよ 心だよ などと言いながら
      私は自分の美しさにふさわしい長い脚の男を
      選んでしまったのだろうか
      それとも 自分の愚かさにふさわしい未熟な男を選んでしまったのか
      互いに傷つけ合い 互いに堕ちていく 深い 暗い一年だった


濡れる私を置きざりに 私の傘をさしていく 男 男という男
私が女の顔をした男なら 今度こそ本当の女に会いなさい
本当の女に会って あなたも本当の男になりなさい


    悲しむこともなければ、恨むこともない来るべくして来た別れなのに
    雨にまぎれて湧く涙
    もっと 降れ 降れ 嵯峨の雨
    もっと 泣け 泣け みにくい私
表紙