例年のことだが中元や歳暮の季節になると頭が痛い。
現役時代の半分にも満たない年金暮らしの
私の交際相手は、そうであればこそ義理と厄介
だけではすまされない大切な生涯の宝物ばかりだ。
相手の生活も性格も知り抜いている。
相手も又、私のヘソ曲がりな変人暮らしのよき理解者である。
昨年はスバル・ジェミニ両望遠鏡のそばでひろったマウナケアの石を
絹のハンカチでくるみ桐箱におさめて6人に贈った。
今年は高雄の落葉にするつもりだったが、帰りに立ち寄ったまゆの店で
ゴリラのモビールに心が揺れた。
石や落葉にくらべれば相手にかける迷惑も多少は少なかろう。
宝物達のホッとした笑顔を思い浮かべながら
暮れなづむ嵯峨野を家路についた。
変人のゴリラ

      ― これが俺の歳暮だ ―
表紙
戻る 進む
商品ページへ