地域のチョットした会議をすませてから、夜の10時頃に
警察署へ行った。断っておくが呼び出されたわけではない。
昼間は忙しい部長とゆっくり話したくて、彼と打ち合わせた
上での訪問だった。部外者の出入りこそなかったものの
署内は意外にも、若いお巡りさんが小走りに動き廻っていたり
電話が鳴ったりして、部長と私とが話し込むデスク周辺を
除けば普段目にする光景とさして変わらない、やはり
警察の警察らしい緊張感に満ちていた。
用件をすませた帰りぎわに、私は用意してきたフクロウの
モビールを部長のデスクの上にぶら下げた。
邪魔であれば家に持って帰ればいいだろう。
夜の森の番人と、夜の都会の番人と “結構エエ取り合わせ
ですやん” と立ち上がる私の背中に、困ったような
あきれたような、いかつい顔が笑っていた。
警察のフクロウ

      ― 都会の夜の見張り番 ―
表 紙
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